しいたけの栽培方法method
しいたけ栽培に必要なものは?
しいたけの栽培に必要なものは、「ホダ場」と「ホダ木(原木)」と「菌(タネコマ)」。畑で育つ野菜に例えるなら、ホダ場は畑、ホダ木(原木)は土、菌はタネとなります。ホダ場に適しているのは、杉の雑木林のような、直射日光のあたらない日陰。
そこに菌をコマ打ちした原木のホダ木を並べ、2年間かけて菌のまわった原木からしいたけを発生させます。大分は昔から原木となるクヌギの木が豊富にあったため、しいたけ栽培が広まるきっかけとなりました。
人工栽培を実現したタネコマの発明
時代とともに変化したしいたけの栽培方法
明治時代までは、生産者が各々伐り出したクヌギの原木にわざわざ刃物で傷をつけて、そこに自然と胞子が飛んできて繁殖するのを待っていました。
しかし、それでは胞子がつかなければしいたけは発生せず、生産者の安定した収入にはなりません。一昔前までしいたけ栽培は、自然相手の賭けのような状態でした。
これを見て、しいたけを人工的に発生させる菌の研究に打ち込んだ人物が東京大学の森喜作です。彼の熱心な研究により、昭和17年に「純粋培養種駒法」が発明され、種菌を人の手で原木に打ち込む「コマ打ち」が始まりました。これによって確実にしいたけが発生するようになり、菌の種類もいまや20種類くらいに増えています。姫野一郎商店ではその20種類のしいたけ菌の中から品質の良いしいたけが発生する菌を見極め、それを生産者に契約栽培して頂いています。
原木栽培にこだわる理由
しいたけの味と栽培方法の関係
「しいたけと名のつくものはどれも一緒」だと思っていませんか? ところが実際は、栽培方法によって味も栄養素も全然違うんです。 料理に使ったしいたけの味が「なんだか薄い…」と感じた経験があれば、それは菌床栽培でつくられたしいたけの可能性があります。
そもそもしいたけの栽培方法は原木栽培が主流でしたが、さまざまな研究が進み、現在はおがくずに菌を植え付ける菌床栽培も普及しています。
菌床栽培のしいたけは、わずか数カ月のサイクルで発生し収穫できる効率のよさが好まれていますが、味はというと風味が薄く、乾燥させてもダシが出にくいという課題もあります。ですが肉厚なので、食べ応えを求める料理には向いています。
ダシにも料理にも使える美味しいしいたけを
姫野一郎商店では、旨味と栄養がたっぷり詰まった、ダシにも料理にも使える美味しいしいたけを全国のみなさまにお届けしたいと考えています。
そのため、創業から変わらず原木栽培にこだわり、その姿勢をこれからもずっと貫き続けて参ります。
しいたけの栽培方法と収穫時期
原木栽培のしいたけは、ホダ木を準備し、菌をコマ打ちしてから最初に発生・収穫するまでに2年のサイクルをかけています。春にだけ発生・収穫できる菌や、春と秋の年2回発生・収穫できる菌など、菌の種類によって収穫できる時期が違ってきますが、本来は春に発生するしいたけのほうが風味がよくて美味しいとされています。
ちなみに、春だけに発生する原木からは5年間、春と秋に発生する原木からは3年間しいたけを収穫することができます。
春に発生・収穫させる場合の栽培方法(例)
1年目
伐採
クヌギの葉が7割くらい枯れて落葉したタイミングを見計らい、木を伐り倒す。伐り倒すクヌギの木は、菌が発生しやすい適度な樹皮のかたさと養分を保った樹齢15年くらいのものが最適。
玉切り
クヌギの木を90~120cmくらいの長さに揃えて伐り、ホダ木をつくる。
植菌
玉切りした原木にドリルで穴をあけ、しいたけの種(種菌)を植え付けます。
培養(伏せ込み)
植菌した原木は2夏経過後の秋まで伐採地等に組んで(伏せ込み)おき、1年半かけてしいたけ菌を原木にまん延させます。
2年目
発生・収穫
冬の厳しい寒さを経験させた後、春の温かい気温にあててしいたけを発生させる。
サイズを見極めて収穫する。
乾燥
収穫したしいたけは、ゆっくり24時間かけて乾燥させる。ゆっくり乾燥させると、水分が程よく抜けて軽く、食べるときに弾力のある美味しいしいたけができあがる。