しいたけがおいしい理由reason

乾燥させることでうま味が数倍に!
グアニル酸が美味しさのヒミツ

生のしいたけを乾燥させるのは、「保存に便利だから」という理由だけではありません。むしろ、乾燥させることで「うま味成分を高めるため」なのです。

日本料理にもかかせない、乾しいたけのうま味

日本料理にもかかせないしいたけ
クヌギの雑木林としいたけの原木

人は食べ物を食べるとき、味、食感、香りなどさまざまな要素から「美味しい」と判断します。「うま味」はその判断材料のひとつになるもので、甘味、塩味、苦味、酸味とならんで基本五味のひとつに数えられる味の要素。三大うま味成分の「グルタミン酸」「イノシン酸」「グアニル酸」がよく知られています。

グルタミン酸を多く含む食材には、コンブやチーズ、緑茶などがあり、とくにコンブによく含まれています。イノシン酸はカツオ節、煮干し、サバや豚肉に、そしてグアニル酸をダントツで多く含む食材が乾しいたけなのです。コンブ、カツオ節、乾しいたけといえば出汁の代表格。つまりうま味は日本料理に独特なもので、いまでは「UMAMI」という世界共通語にもなっています。

乾燥がしいたけのうま味をつくる

乾燥しいたけ

乾しいたけがすごいのは、三大うま味成分のグアニル酸がほぼ乾しいたけからしか取れないということ。しかも、生のしいたけにはほとんど含まれず、乾燥させると何倍もグアニル酸が豊富になることがわかっています。乾燥させると、乾しいたけに含まれる酵素の働きによって、うま味成分のグアニル酸が生成されるのです。「干すとうま味が増える」というのは、コンブやカツオ節にはない、乾しいたけ特有の特徴です。

乾しいたけのうま味が生む相乗効果

しいたけカレー

さらに、グルタミン酸はアミノ酸系、イノシン酸とグアニル酸は核酸系のうま味に分類されるのですが、それぞれを単独で使うよりも、アミノ酸系+核酸系のうま味をかけ合わせることで相乗効果が生まれ、うま味がアップします。コンブとカツオ節で出汁を取ったり、またコンブと乾しいたけで出汁を取ったりするのはそのためなのです。

三大うま味成分は【イノシン酸】【グルタミン酸】ともう一つ何だっけ?それは乾しいたけの【グアニル酸】です!

美味しいから、昔から貴重だった
森のダイヤ「しいたけ」

森のダイヤ「しいたけ」「しいたけを乾燥させるとうま味と栄養が増す」という事実は、すでに江戸時代にはわかっていたそうで、『食物本草』(1669年)、『食物適用大全』(1683年)、『本朝食鑑』(1697年)などの書物に中国から伝わった干ししいたけの薬効が記されています。武家や将軍家の食卓にもごちそうとして出されていたようで、保存がきくことからも重用されていました。そのため、人工栽培が始まった頃、しいたけは「森のダイヤ」として珍重されました。

また、菌から発生するしいたけは、農産物のなかで唯一、農薬や化学肥料を使わずに栽培できる食材。森の中の自然の作用に育まれるため、安心して口に運べるところも美味しさのヒミツなのです。

九州産原木栽培乾しいたけが美味しい理由

祖母山九州の大自然、美味しい水と原木栽培に適した環境の中で育ったしいたけは、生産者の技術によって乾燥され、質の良い乾しいたけになります。
ここ、大分県竹田市は北に久住連山、西に阿蘇山(熊本県)、南に祖母連山という1,000m級の山岳に囲まれています。さらに水郷百選に選ばれる竹田湧水群を持ち、日本でトップクラスの炭酸泉を持つ、自然豊かな土地です。
この土地で生まれる「ほんもの」の乾しいたけは、2年の歳月を経て、大自然の恵みによって、味・香り・歯ごたえが抜群に良い乾しいたけができるのです。

「干ししいたけ?乾しいたけ?」
昔は天日で干していたので「干ししいたけ」あるいは「干し椎茸」でしたが近年、火力乾燥に変わり、林野庁が「乾しいたけ」と表記を始めたことから「乾」の漢字が定着しつつあります。機械に代わったことで、乾燥技術が向上し、質の良い乾しいたけを作ることができています。

参考:

大分しいたけをもっと知る