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対談 [竹田市長]首藤勝次 ×[姫野一郎商店社長]姫野武俊

姫野一郎商店は、

「方程式をつくる男たち」だと思います。

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  • 岡藩はしいたけ産業のパイオニアだった

市長 400年前の江戸時代に岡藩が収めていた竹田は、その統治時代に1市3町に分かれ、各々が自治体を構成していました。その間、岡藩の城下町のほか久住は景観の素晴らしい高原の町、直入は炭酸泉を有する温泉地、荻は西日本有数のトマト生産地として、それぞれの地域で個性が育まれて行きました。そのうえで平成17年4月に合併したとき、新生竹田市は、400年前よりもずっと個性的な集合体になったと思っています。合併で、旧岡藩領のほとんどが戻ってきたわけですが、その中に観光地としての魅力はもちろん、文化や歴史が集積しているという強みが今の竹田市にはあります。

 

姫野 当社も、その400年の歴史とともに歩んできた会社として、文化や歴史を伝えていきたいと願っています。

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市長 そういえば今、非常に興味深い作業が進んでいるんですよ。現在、竹田市の新しい図書館を建設していますが、それにともなって市に残された江戸期の古文書を解読してもらっています。すると、面白い食文化が明らかになってきているんです。岡藩のお殿様は汐くじらが好物だったとか、「岡の大豆」と呼ばれる特別大きな大豆の産地だったとか。そして、しいたけの話。滝沢馬琴が著した『兎園小説』という随筆集の中に、実は、日本で最初に産業としてしいたけ栽培が興ったのは岡藩だったと記されているんです。

 

姫野 それはすごいですね! 源兵衛翁が江戸末期に始めたという記録は残っていますが、文献によっては曖昧な部分もあったんです。

 

市長 そう。源兵衛さんは宇目で、クヌギなどの原木にナタで傷をつけて菌が付くのを待つ「鉈目式」という方法を発案したと言われていますね。ですが、伊豆の重蔵という人物が、岡藩の官山で領主の命によりしいたけ栽培を始めたというんです。つまり竹田は、しいたけの特産地として、日本のフロンティアなんです!

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姫野 もともと、しいたけの歴史自体は1000年くらいあるらしいんです。中国から伝わったそうなんですが、日本のしいたけのほうが品質が良く、逆に乾燥させたものを中国に輸出していたんですよね。当社も先代までは、商品をほとんど神戸の商社に送り海外、主に香港に輸出していました。ところが中国で菌床栽培が普及して輸出量が減る中、先代が小売りを開拓して、百貨店などの販売ルートを首都圏に拡大して行きました。

  • 仕入・販売ルートの確立と信頼関係

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市長 「姫野一郎商店」の素晴らしいところは、しいたけの流通革命を起こしたことですよね。生産者から直接現金で買い付けるという。生産農家からの仕入れルートと販路を確立して、竹田市の基幹産業(米、牛、しいたけ)の一角をずっと担って来られた。それが成り立ってきたのは、信頼関係と支え合い、これに尽きると思います。

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姫野 私たちも、生産農家のみなさんに支えられています。質の悪いものを売るのは消費者に失礼ですから、当社が勧める質の良い菌を打ってもらうようお願いしながら、上質なしいたけを納めてもらっています。ちなみに、平均買い取り単価のピークが昭和58年頃で、1kgあたり4000円でした。実は現在の平均はこれとほとんど変わっておらず5000〜6000円なのですが、当時は平均月収が3万円という貨幣価値の時代ですから今で言うと4万円くらいに相当し、しいたけは松茸くらいの価値があったと言っても過言ではありません。

 

市長 私が若かった頃、しいたけ栽培で生計を立てている人は、みなさん姫野さんのお店に売りに行っていたのを覚えていますよ。10kgの乾しいたけが入った大きな段ボールを持って行って、飲み明かしたうえ帰りに単車を1台購入して帰ったという話があったり(笑)。生産農家のみなさんは、ずいぶん姫野さんに助けられたと思います。

 

姫野 全量現金買い付けを貫いてきました。それから、うちはOSK(大分県椎茸農業協同組合)の指定商社です。OSKは、全国の生産量の半分を占めている大分で最も大きな市場、つまり良質なしいたけが最も多く集まる市場ということになるのですが、当社は月に3度あるその入札会に参加して、長年培ってきた目利きで都度いちばん良質な商品を買い付けてきます。つまり、姫野一郎商店で販売しているしいたけは、全国でいちばん良質な商品なんです。それはどこにも負けないと、自負しています。

 

  • これからも「竹田の地域ブランド」として

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市長 加工も早くから始められて、商品のパッケージもかっこいいですよね。

 

姫野 ありがとうございます! 実は今日、お土産を持って来ました。最近、オリーブオイル煮の「アヒージョ」をつくったんです。温めてそのまま食べてもいいし、ワインのおつまみにぴったり。パスタやサラダに入れても美味しいんです。ぜひ召し上がってみてください。

 

市長 そうですか、それはうれしいですね! 最近はこういう加工品が喜ばれますよね。日持ちもするし。これはいい!

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姫野 しいたけそのものの需要が減るなか、加工品の開発には力を入れていきたいと思っています。今、抜群に美味しいしいたけのペーストも開発中です。風味があって逆にエグみはまったくなく、和にも洋にも使える汎用性があるものです。

 

市長 それはやはり、乾しいたけでなくては出ない味なんでしょう。ソフトクリームに混ぜても美味しいかもしれないですね。楽しみです。

 

姫野 これからも、しいたけ本来の良さを伝えて行くこと、それを味わってもらえる料理のレシピなども提供することで、若い方々にもしいたけを使ってもらえるよう工夫していきたいと思います。

 

市長 近年は、自社ブランドを売りにくい時代になっています。例えばカボスも竹田が一大産地なのですが、「大分かぼす」というネーミングで販売されているように。そんななか、「姫野一郎商店」という名前を聞けば「竹田」を想像できる地域ブランドに育って来たということは、竹田市として誇るべき企業です。しかも姫野さんは、どこかの二番煎じではなく、常にオリジナルの発想や取り組みを行って来られた。方程式を解くことは誰にでもできます。そうではなく、姫野一郎商店は、自ら方程式を作り解決策を導き出して行ける企業です。これからもずっと「方程式をつくる男たち」であってほしいと思いますね。おそらくまた新しい壁が立ちはだかっても、新しい方程式で乗り越えて行けるでしょう。応援しています。

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