しいたけの豆知識 knowledge

「生しいたけ」と「干ししいたけ」の違いとは?同じしいたけでも実はこんなに違う!

生しいたけ_干し椎茸_違い2

 

野菜、果物、肉、魚、なんでも食べ物は新鮮なものほどおいしいし、安心して食べられるイメージがありますよね。

 

だから、しいたけが食べたいときも乾燥させた「干ししいたけ」ではなく「生しいたけ」を買っている人は多いのではないでしょうか?

 

生しいたけは、水に戻す必要がなくすぐに調理できて使いやすいですよね。ただし、うま味や栄養成分は干ししいたけのほうが多いということをご存知ですか?!

 

つまり、干ししいたけは「おいしい」し「体にいい」し、いいことづくしなのです。

「生しいたけ」と「干ししいたけ」では【うま味】が違う!

しいたけ_旨味_姫野一郎商店①

 

まず、「生しいたけ」よりも「干ししいたけ」の方が【うま味】が強いです。

そもそも、【うま味】は「おいしさ」とは違います

「おいしさ」とは、味に加えて匂いや食感、体調や食べる場所などさまざまな要素を総合評価した味のことですが、【うま味】はしっかりと舌で感じられる味のバロメーター。

 

日本で発見された【うま味】は、甘味、酸味、塩味、苦味と合わせて5つの基本味に数えられており、世界でも【UMAMI】と言われ注目されています。

干ししいたけの【うま味】のもとは「グアニル酸」

干ししいたけのうま味は「グアニル酸」が含まれていることによるもの。

 

「グアニル酸」は、「グルタミン酸」、「イノシン酸」と合わせて3大うま味成分のひとつ。

 

「グルタミン酸」が昆布やトマトなど、
「イノシン酸」がカツオや煮干しなど複数の食材に含まれているのに対して、
「グアニル酸」はほぼ「干ししいたけ」にしか含まれていません。

 

 

日本で最もポピュラーなきのこである椎茸は、土のような強い匂いを持ち、生や乾燥した状態で料理に使用される。干し椎茸には干すことでグアニル酸が生成し、また水分が減ることで成分の濃縮が起こり、グルタミン酸も多く含まれており、その2つのうま味成分によるうま味の相乗効果が起こる。なお、生椎茸のうま味成分はグルタミン酸が多く含まれている。干し椎茸は、水戻しし、主に煮物に用いられ、またその戻し汁はだしとして使われる。生椎茸は、焼き物、揚げ物、炒め物など広く使われる。

 

生椎茸
グルタミン酸含有量(mg/100g):430mg

 

干し椎茸
グルタミン酸含有量(mg/100g):265mg(戻し率換算)
グアニル酸含有量(mg/100g):150mg

引用元:特定非営利活動法人 うま味インフォメーションセンターHP きのこ類 より

 

ということは、干ししいたけの方が「しいたけ本来のうま味」が味わえるということです。

水に戻すことでも【うま味】アップ! 出汁までおいしい「干ししいたけ」

グアニル酸のうま味は、さらに、低温で水戻しすることで増加することもわかっています。

 

しいたけの中でも特にうま味が強いと人気の115という菌種があるのですが、これを乾燥させて水戻しした場合、5℃の水で戻し加熱調理すると、もともと含まれていたグアニル酸が10倍以上も増えたという結果もあります。

 

「農協種菌115」について、水戻し 条件の違いとその後、加熱調理をし た際の乾椎茸のグアニル酸分析をし たところ、水戻しおよびその後の加 熱調理によってグアニル酸含量が増 加し、その増加は低温で水戻しした ほうが顕著であった(図-1)。

引用元:全農 グリーンレポートNo.459(2007年9月号)より

 

独特のうま味や香りが溶け出したその「戻し汁」も、茶碗蒸しや煮汁など調理に有効活用したいですね。

 

水戻ししたしいたけは、一度乾燥させて本来の水分が飛んでいるので弾力があり、歯ごたえがあります。

 

一方、生しいたけは本来の水分を含んだままなので、柔らかい食感。これはどちらがおいしいかというと好みにもよりますが、たとえばまるごと煮物にしてみるとその食感はあきらかで、乾しいたけのほうが食べごたえがあり、さらに煮汁をたっぷり含んだジューシーな味わいにもなります。

「生しいたけ」と「干ししいたけ」では【栄養成分】が違う!

生しいたけ_干し椎茸_栄養

 

そして、うま味に加えて注目したいのが干ししいたけの栄養成分。 しいたけは乾燥させることで、栄養成分もギュッと凝縮します。

 

干ししいたけが含んでいる主な成分は、 食物繊維、カリウム、ビタミンD、葉酸など。

 

日本食品標準成分表2020年版(八訂)より、この量を生しいたけ(原木)と乾しいたけ(原木)で比べてみましょう。

 

しいたけの主な栄養

 

〈食物繊維〉

○乾しいたけ[46.7g/100g] 
○戻した乾しいたけ[11.7g/100g](戻し率4倍)
○生しいたけ(原木)[5.5g/100g]
戻した乾しいたけと生しいたけ(原木)を比べると、食物繊維は生しいたけより約2倍!
食物繊維は、整腸効果、血糖値上昇の抑制、血中コレステロール濃度の低下など多くの生理機能が明らかになっている成分です。

出典:*厚生労働省e-ヘルスネット「食物繊維」 

 

〈ビタミンD〉

○乾しいたけ[17.0μg/100g]
○戻した乾しいたけ[4.3μg/100g](戻し率4倍)
○生しいたけ(原木)[0.4μg/100g]
戻した乾しいたけと生しいたけ(原木)比べると、約10倍のビタミンDになります!
脂溶性ビタミンの1つで、身体の機能を正常に保つ働きを持ち、強い骨を維持するためや健康のために必要な栄養素です。

出典:*厚生労働省e-ヘルスネット「ビタミン」 *厚生労働省eJIM「ビタミンD」

 

〈レンチナン〉

干し椎茸特有の香りの成分。β-グルカンの一種で、免疫作用を高めると言われている成分です。しいたけから精製されたレンチナンは抗がん剤にも使用されています。

 

〈エリタデニン〉

血圧抑制、血管のつまりやコレステロールの増加を防ぐ効果があると言われている成分です。

 

 

〈葉酸〉

葉酸はビタミンB群の一種で、赤血球の形成やDNA合成に関わると言われており、全ての世代の人にとって必要な栄養素です。

出典:*厚生労働省e-ヘルスネット「葉酸」 *厚生労働省eJIM「葉酸」

 

 

 

▽ しいたけの栄養成分について

生しいたけの30倍!?干し椎茸の栄養素・栄養成分を徹底解説

「生しいたけ」と「干ししいたけ」では【賞味期限と保存期間】が違う!

生しいたけ_干し椎茸_期間1

 

さらに、干ししいたけの最大のメリットとも言えるのが「長期間保存できる」ということです。

生しいたけの賞味期限と保存方法

生しいたけの賞味期限はほんとうに短く、保存も難しいです。

 

生しいたけの柔らかい食感をそのまま味わおうと思ったら、乾燥は大敵ですし、逆に湿気や水分を含みすぎるとすぐに黒く変色し傷んでしまいます。

 

上手に保存したとしても1週間以内に食べきらないとおいしくありません。

 

保存は、湿気対策の新聞紙やキッチンペーパーなどにくるみ、密閉容器や袋に入れて冷蔵庫に入れてください。また、すぐに食べきれない場合は冷凍保存もおすすめです。冷凍すると1か月ほど保存できます。

干ししいたけの賞味期限と保存方法

一方、干ししいたけは、きちんと保存すれば1年間長持ちさせることも可能です。

 

それには、湿気を避け、密閉容器に入れて冷暗所で保存してください。容器に乾燥剤を入れると完璧ですね。

 

常温で保存が可能ですが、高温多湿は大敵なので、水まわりの下ではなく暗く風通しの良い戸棚の上などが最適です。

 

また、いちど水戻ししたしいたけは、水に浸しておきっぱなしだとどんどんエグ味がでて渋くなってしまいますので、1週間ほどで使い切ってください。

 

もしも使いきれない場合は、戻し汁から出し水気をきって、冷凍保存を。凍らせることでさらにうま味が増します。戻し汁も、製氷機や密閉袋で冷凍保存すると、小分けにして使えて便利ですよ!

 

▽ しいたけの保存方法について

しいたけの保存方法。正しく保存すれば美味しさも長持ちします。

▽ しいたけを冷凍保存する極意

しいたけの冷凍保存の極意!冷凍保存を上手に活用して毎日の食卓に旨味を!

生しいたけと干ししいたけでは【価値】が違う!

生しいたけ_干し椎茸_価値

 

さて、「生しいたけ」と「干ししいたけ」の違い、おわかりいただけましたか?! 実は、ここまで「生しいたけ」とだけ言ってきましたが、しいたけには大きくわけて「菌床栽培」のしいたけと「原木栽培」のしいたけの2種類があり、1年中出まわっている生しいたけは、多くの場合「菌床栽培」によるものなんです。

 

なぜなら、原木栽培のしいたけは1年のうち春と秋の数週間だけにしか収穫できないので、スーパーや直売所などの店頭に並んだとしてもほんの一瞬! 宝探しのお宝に出会ったと思ってもいいかもしれません!

 

ただし、さきほど説明したように、【うま味】や【栄養成分】は乾燥させないと増えないんです。

 

一瞬のうちにしか収穫できないので、生産者さんたちは原木生しいたけを丁寧に乾燥させ、原木干ししいたけとして出荷します。そうすれば、保存しながら長くしいたけ本来のおいしさを味わえるからです。

 

このとき、生産者さんたちが乾燥させるのは、収穫した原木生しいたけでも色や形、厚みなど状態の良いしいたけばかり。残りを生しいたけとして出荷しています。

 

また、菌床栽培は1年中食べられますが、原木栽培にくらべて味も香りも弱く、本来のしいたけのおいしさを味わうなら、やはり原木栽培の干ししいたけには適わないんです。

 

▽ 原木しいたけ徹底解説

「原木しいたけ」とは?手間ひまかかる栽培からその魅力を老舗しいたけ屋が徹底解説!

姫野一郎商店が質の良い干ししいたけを扱える理由

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原木栽培の生しいたけを乾燥させた干ししいたけこそ、本物のしいたけ。

 

だからこそ、姫野一郎商店は「原木干ししいたけ」にこだわり、しかも、干ししいたけの出荷量が全国1位を誇る大分県の、随一の産地の竹田から、原木干ししいたけだけを販売しています。

 

創業から140年あまり。生産者さんのもとに足を運び、信頼関係を築き、本物を見る目を養い、最高品質のしいたけだけを選び抜くという姿勢は、昔も今も変わりません。だからこそ、生産量が減少している今も、安定して本物の原木干ししいたけを確保できるのです。

 

安定して品物を確保できるということは、お客さまに常に最高のしいたけをお届けできるということ。産地から、「これぞ最高のしいたけ」という見た目の美しさ、そしてうま味、おいしさ、食感、香り、すべてをお届けしたいんです!

まとめ

「しいたけ」とはひと口に言っても、生しいたけよりも干ししいたけでは【うま味】、【栄養成分】、【保存期間】、【価値】が違うと言うことが分かりました。

 

干ししいたけには、乾燥させなければ生まれないうま味や栄養成分があり、しかも長期保存がきくという、とても利にかなった優秀な食材なのです。

 

干ししいたけでも本物を味わっていただきたいので、「違いを味わいたい!」という方はぜひ姫野一郎商店のネットショップからご購入のうえ、お試しください。

 

> 姫野一郎商店ショップサイトはこちらから

http://www.shiitake-himeno-shop.com/